褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
女子達のヒソヒソ声に耳を傾けながら歩く。


中学時代のあだ名が知れ渡ったのか、高校でもアイドル呼ばわりされている。


でも正直、自分ではどこにアイドル要素があるのかがわからない。歌やダンスが上手いわけでもないし。



「さすが先輩、モテモテですね~」

「そうかなぁ?」



モテモテかぁ……。


単に女子達と話す機会が多いから、そういう風に見られているだけだと思う。

手芸部はほとんどが女子で、クラスも半分以上が女子だから。


景斗からは、女慣れしてるって言われてるけど……女子が多い環境にいたら、自然と慣れていくものなんじゃないか?



「俺よりも須川くんのほうがモテモテだと思うけどな」

「ええっ⁉ 俺モテないですよ? ずっとスポーツやってたので、女子と遊んだ経験が少ないんです。だから付き合ったこともなくて……」

「ええっ⁉」



おいマジかよ。

こんなにも爽やかで優しくて、知的で可愛らしい魅力のある子が交際経験なし⁉

もしも彼女いないって知られたら……きっと女子達が大騒ぎするだろうなぁ。


須川くん、自分がイケメンだってことに気づいてなさそうだからちょっと心配だ。
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