褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「……手芸部がバスケ部と対戦かぁ」
「何? 自信ないの? 俺だって帰宅部だぞ」
「そうだけど、お前は経験者だろ?」
景斗は小学生の頃から数年間バスケをやっていて、中学時代もバスケ部だったスポーツマン。
足をケガしたからバスケは中学でやめたらしい。
ブランクがあるとはいえ、元運動部。
そんな彼に対し、俺は万年文化部で、運動部に1度も入ったことがない。
「弱気なアイドルだなぁ。で? どうすんの?」
「……やるよ」
「そうこなくっちゃ」
「弱気なアイドル」と言われ、黙っていられなかったので誘いに乗った。
「────清水!」
「任せろ!」
敵チームの男子が投げたボールをキャッチした景斗。
そのままゴールに向かい、華麗にシュートを決めた。
「ナイス清水!」
「えへへ~」
さすが元バスケ部。
すると景斗が、コートの外に向かって小さく手を振り始めた。
視線の先には、雪塚さんが笑顔で拍手をしている姿が。
……なるほど。好きな子にかっこつけたかったのか。本当わかりやすすぎ……。
勘がいいクラスメイトは、今ので気づいたかも。