褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません




「お前、本当に何でもできるんだな。欠点あんの?」

「あるに決まってるじゃん」



授業が終わり、更衣室で着替えながら景斗に返答する。

景斗がシュートを決めた後、自分も負けじとシュートを決めて同点で終わらせたんだ。



「本当かぁ? 身長が低いところとか言うんじゃねぇだろうなぁ?」

「それもあるけど……俺、家だとダラダラしてるんだよね」



イメージを崩さないように、学校ではテキパキした姿を見せている分、家では心のバランスを取るため、のんびり過ごしている。

実際今朝も朝食を食べ終わるのに30分以上かかった。



「ダラダラ? んなもん欠点に入らねーよ。みんな家だとダラダラするもんだろ。ってかさ……なんか顔汚れてね?」

「へ?」



指摘され、手のひらで頬を触る。

触れた瞬間、指にドロッとした感触が。



「っ……!」



指の腹には、汗と皮脂でドロドロになったファンデーションがべっとりとついていた。

急いで体操服を確認すると、Tシャツの首回りにもファンデーションがうっすら。


恐らく、脱いだ時に付着したのだろう。
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