褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「最悪……っ‼」
「おい! どこ行くんだよ!」
全身の血の気が引いていく。
景斗の声を無視し、青ざめた顔を隠すように更衣室を後にした。
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そのまま洗い場に向かい、汚れた顔とTシャツを洗濯。
幸いにも石鹸で落ちるタイプだったらしく、残らず綺麗に洗えた。
「西尾くん?」
「あ、草山さん」
洗ったTシャツをタオルにくるんでいると、クラスメイトの草山 江利香さんに声をかけられた。
彼女は同じ中学出身で、部活も同じ手芸部。
身長は俺よりも頭1個分ほど低く、可愛らしい雰囲気をまとっている。
「ずいぶんびしょびしょだけど……どうしたの?」
「あぁ……体操服汚れちゃったから洗ってた」
うっ、そんなに顔をまじまじと見ないでくれ。
今、顔には隠れていたニキビとクマがガッツリ現れてるだろうから……。
「草山さんがここにいるってことは、もう女子達着替え終わってるんだよね?」
「うん。清水くんもお弁当食べてるよ」
「あっそう? どうも~」
これ以上顔を見られたくなかったので、早足でその場から立ち去った。