褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
動揺して少し俯いていると……。
「俺達手芸部は、1人でも多くの人に、自分達が作った服で楽しんでもらいたいと思ってる。無理に出ろとは言わないけど、服に興味がない人が出るよりも、実玖ちゃんみたいに服が好きな人に出てほしい。そのほうが、お客さんにも服の魅力が伝わって素敵なショーになると思うから」
真面目なトーンで胸の内を語った先輩。
ファッションショーにかける思いの強さがひしひしと伝わってきた。
「本当に私でいいんですか……?」
「うん! ちょっと忙しくなるかもしれないけど、部活動とか勉強に支障が出ないように調整するから安心して!」
まだ知り合って3ヶ月も経ってないのに、こんなにも私のことを信じて頼ってくれている。
断れるわけないよ……。
「わかりました……こんな私で良ければ、よろしくお願いします」
「ありがとう! 本当にありがとう……!」
「実玖……一緒に頑張ろうな」
ふと兄を見ると、何故か涙目で微笑んでいた。
さっきから全然しゃべらないなぁって思ってたら。泣いてたの⁉
「なんで涙目になってるの」
「いやぁ……実玖が東馬とちゃんと顔合わせて話してるの見てたら、なんか感動してきちゃって……」