王太子殿下と王宮女官リリィの恋愛事情
「おめでとう、リリィ。あたしも嬉しいよ」
クレア姉さんだけでなくいつの間にか2階に来ていたマルラまで、一緒に涙を流して喜んでくれた。
「ずっとヘタレ王太子!と心の中で罵っていてごめんなさい」
「……痛いところを突くな」
マルラの不敬過ぎる発言も、王太子殿下は苦笑いされて不問にされた。
「確かに、言わねばわからない。リリィ、不安にさせてすまなかった」
「い、いえ……わたしこそ……殿下にもっときちんとお伝えするべきでした」
なぜか、またぎゅっと抱きしめられて、そういえば…とわたしは思いきって伝えてみようか、と口を開いた。
「あの、殿下……わ、わたし……もしかしたら……」
王太子殿下はわたしに言わせまいとしたのか、いきなり唇をキスで塞がれた。
「リリィ、おまえが言いたい事はわかる。だが、きちんと判明してからでいい。みっともないぬか喜びはしたくないからな。だが、くれぐれも体を大切にしろ。決して無茶はするな」
「はい……」
殿下に抱きしめられながら、ウトウトと微睡む。この居心地のいい場所をなくしたくない……と強く思った。