王太子殿下と王宮女官リリィの恋愛事情

結局、訓練に熱中し過ぎて何時間か経ってしまったけれども。いつにない充実した時間だった。
やっぱり人から教えてもらうのは段違いにわかりやすい。いくら文字で知識として覚えたとしても、実際試すとなると手探りになる。

ロゼさんは本当に教えるのが好きなようで、へっぽこな生徒のわたしでも根気強く丁寧に教えてくれた。お陰で、かなり風の魔術のコツを掴めた気がする。

「……まったく、リリィ。おまえからは目を離せないな」
「……ごめんなさい」

王太子殿下がお怒りになるのも無理はない。言いつけを守らずに居たのは自分だから。
だからといって、またベッドの住人にする必要があるか疑問なんですが…。

「本当に、反省しているのか?」

覆いかぶさってきた殿下はわたしの首に口づけると、そのまま首筋を軽く噛んだ。
さすがにお腹には配慮してくださってはいても…。

「し、しています…!ですから…もう…」
「駄目だ。まったく反省が見られないな」

更に不機嫌になってる…どうして?

「他の男の匂いがする」

わたしの左手を取り、指先に口づけるとそう呟いたけど…ロゼさんが指導の時に軽く手を添えた程度なんだけど。

「……アイツ、わざとか?」

アイツ?誰のこと??と訊こうとした口は、殿下の口づけでふさがれて。
その後軽く数時間は散々身体中をむさぼられた…流石に最後まではなかったけれど。


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