王太子殿下と王宮女官リリィの恋愛事情
ローズさんが同行してくれたお陰で、防衛はわたしで攻撃はローズさん、と役割分担しすんなり進むことができた。
燃えてる別館に入ると、さすがに熱と煙で熱く息苦しい。
「…ロゼフィンとメイフュの気配がするわ。二人とも無事みたいね」
ローズさんの言葉にほっとしたわたしは、思わず涙がこぼれそうになった。
「よかった…王太子殿下はご無事なんですね…」
「……大丈夫、メイフュは強い子よ。10年前のあの大厄災の中心にいて生き延びたんだもの。今回だってへっちゃらよ」
ローズさんが剣を持ってない左手でわたしを抱きしめてくれた。
あたたかい……
まるで王后陛下のように優しい抱擁に、気分が落ち着いていくのを感じた。
「ありがとうございます…ローズさん」
「いいわよ。こちらこそ、助けてもらっているもの。お互い様!」
明るく笑うローズさんも、素敵な女性だ。
サラさん、王后陛下、ローズさん、クレア姉さん…。
わたしの周りには憧れるに足る素敵なひとばかりだ。
いつか、そんな大人の女性になれたら…王太子殿下に相応しい女性に。
(そのために努力しよう…絶対、みんなと一緒に脱出するんだ)
そう決意をしながら、ローズさんと共に別館の奥を目指した。