王太子殿下と王宮女官リリィの恋愛事情

「おまえに手を出した責任は取る。いい加減な戯れで抱く事はしない」

(……殿下……)

「オレは、どんな女も拒む。だから、リリィ。おまえも覚悟しておけ」

(……わたしは…)

「私が今抱いてるのは、リリィ・ファールだ。私が自分の意志で選んだ。それ以上口を挟むのは許さない」

(きっと……足りなかった)

「少しは楽しめ。おまえの人生に少しでもそういう思い出があってもいいだろう」

(殿下は…ずっと、ずっと、わたしを気遣ってくださったのに…)

「…おまえが、努力して綺麗になっていたからだ」

(ずっと、ずっと…伝えてくださってた)

「こうして抱きしめて、キスをしていた。人前でも構わない…そんな衝動を抑えるのに必死で、おまえの気持ちまで配慮できなかった…本当にすまなかった」

(ご自身のお気持ちを……)

「リリィ…おまえはいなくなるな。オレのそばにいろ」

(何を、不安に思うのだろう)

「あいにくオレはリリィ…おまえ1人でいっぱいいっぱいだからな」

(メイフュ殿下は、わたしに伝えてくださった)
「リリィ、おまえが足りない」

(言葉だけでなく、ぬくもり…全身で)

「リリィ、オレが必ず護ってやる」

(…いいえ、全てで伝え続けてくれていたんだ)

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