王太子殿下と王宮女官リリィの恋愛事情
レッドラン公爵家は大逆罪で廃され、その領地はわたしが叙されたファール公爵家が引き継いだ。
大罪人になった公爵夫人だけど、公的には死罪を賜り亡くなったことになって…こっそりアリスさんと逃した。
公爵夫人は悔い改めてシスターになり、孤児院で子どもたちの世話やボランティアを積極的にこなしている。車いすで本当に活動的ですよ、とアリスさんの手紙の筆跡は弾んでた。
旧公爵邸に新しい屋敷を建てる許可はいただいたけど。わたしはそれよりも新しい街を作る計画を立てた。
公爵邸はこじんまりした屋敷にして、整備した土地でいろんな施設を建てる。病院や学校や娯楽施設。孤児院も拡張して村の人たちを移住させて…雇用を作る。貧困でわたしのような捨て子が出ないように。
あと、魔術師養成所建設や温泉採掘計画もあって忙しい。
あんまり顔を合わせないと王太子殿下が拗ねるから、ご機嫌窺いも必要だ。
「リリィ…おまえはオレがいなくても平気なのか?オレは1日24回は逢わないと死にそうなんだが…」
「そんなことはありませんけど…多くありませんか?」
ほら、やっぱり。こう言うと子どもみたいに拗ねる。
「……足りない。リリィ、やっぱりおまえが足りない。補充させろ」
「で、殿下…ッ」
また、息苦しいほどにキスをされてから、殿下はボソッと不満げに呟かれた。
「……殿下、じゃない。メイフュだ。いつになったら呼んでくれる?」
「それは…きゃっ!?」
まだ躊躇うわたしをベッドに倒した王太子殿下は、上に覆いかぶさるとニヤッと愉しげに笑う。
「メイフュと呼ばねば、罰を与えてやろう…ほら、呼んでみろ?」
「そ、そんな…ひゃっ」
く、首…舐められた!
「め、メイ…殿下!」
「まだだな、リリィ」
散々弄ばれて息も絶え絶えなわたしに、王太子殿下はやっぱり愉しんでる?
悔しくなったわたしは、思いきって呼んでみた。
「め、メイフュ…!」
すると、「よく呼べたな。ご褒美だ」とメイフュ殿下はわたしに笑い…。
結局、マルラが「リリィの身体を考えろ!このエロ王太子があっ!!」と角を出すまで、貪り食われた。