王太子殿下と王宮女官リリィの恋愛事情

もうひとつだけ、訊きたかった。
一番気になって…そして、懸念していたこと。

“殿下、わたしは……あなたの好きな人にそんなに似ていますか?”ーーと。


けれども、そのうち何も考えられなくなっていく。

わたしを組み敷いた王太子殿下が、時間をかけてゆっくりと熱を与えてくるから。

「リリィ…まだ、おまえが足りない…」

もう、頭と全身が熱で溶けそうだった。
焦げつきそうなくらいの熱さで、求められて…。

「リリィ…おまえはいなくなるな。オレのそばにいろ」

後ろから抱きしめられて、そんなふうに囁かれ……何度、王太子殿下はわたしに熱をくださったのだろう。

「……これで、おまえは離れられない」

何日目かわからない朝。気絶するように眠ったわたしを抱きしめ、王太子殿下は満足げな笑みを浮かべた。




< 85 / 158 >

この作品をシェア

pagetop