王太子殿下と王宮女官リリィの恋愛事情
「リリィ、大丈夫?」
「……だい、じょ…ぶ、ゴホッ!」
喉が痛いし、ガラガラだ。声がかすれて喋るのも苦労する。
「はい、薬湯…ぬるくしたから、ゆっくり飲むのよ」
マルラがカップに注いだ薬湯は喉に染みるけど、我慢して飲んだ。それだけでかなり疲労感を感じて、またベッドに横にならなきゃいけなかったけれども。
今、わたしが居るのは小宮ではなく王太子殿下の寝室。部屋を移りたい希望を出したけれども、王太子殿下に移ることは許されなかった。
「……ったく、あのエロ王太子!どんだけ絶倫なわけ?リリィを10日も部屋に閉じ込めてやりたい放題って……盛り放題のサルか!!」
「ま、マルラ…言いすぎ…コホッ」
「これでも遠慮してるくらいよ!1ヶ月近くリリィを放っておいたくせに!リリィに去られると知ると監禁してセッ…って…!犯罪よ、犯罪!!」
ブチ切れたマルラの怒りは恐ろしい。何か言うと百くらい返ってきそうだから、大人しく黙っていることにした。
「そうそう、サラさんは退院したらしいよ!」
お茶の用意をしていた最中、思い出したようにマルラが言った。
「流石にダメージがあったから、しばらく休職してゆっくり今後を考えるって…そう言えば、キリさんが毎日通ってずいぶん甲斐甲斐しくお世話してたっけ」
「そっか…あり、がと…」
サラさんの容体は気になっていたから、退院できるほど回復してよかった。まだお見舞いは難しいだろうけど……いつか、またお話ができたらな、と思った。