王太子殿下と王宮女官リリィの恋愛事情
「メイフュ、しっかりとリリィをお守りするのですよ」
「承知しています、母上」
メイフュ王太子殿下のお見送りに出てらした王后陛下も、わたしにまでお言葉をくださった。
「リリィ、あなたはとても強い女性だわ。けれど、誰かを頼ることも時には必要だと思うの。だから、どんどんメイフュに甘えてあげて。男性は好きな女性に頼られるのが生きがいだったりするものよ」
「母上!」
王后陛下のお言葉で王太子殿下は咎めるような声を出したけれど、王后陛下は愉しげにクスクスと笑われた。
「メイフュったら、赤くなってるわ…本当にナイーブね」
「勘弁してください…」
王太子殿下が、本当に耳まで赤くなってる。やっぱりお母様には敵わないらしい、と微笑ましく感じた。
「リリィ、わたくしもあなたを本当の娘のように思っているわ。どうか無事に帰って来られるように祈ってますからね」
王后陛下が初めてお会いした日のように、そっと優しく抱きしめてくださって……。
「……はい。きっと、きっと帰ってきます」
畏れ多くも、王后陛下の抱擁はまるでお母様のようだ…と、心地よく感じてた。