王太子殿下と王宮女官リリィの恋愛事情

「オレより、そのノートが大切か?」
「えっ…と……」

眉を寄せた王太子殿下は、なぜか不機嫌になってらして。わたしには原因がよくわからない。
けど、勝手な憶測で答える訳にはいかないから、わからない事は思いきって訊ねてみた。

「あの……どうしてですか?わたしは覚えたくて魔術を勉強しているだけですけど」
「それは悪くない……だが、道中ずっとだ。しかも、一昨日も昨日もベッドにまで持ち込んで、そのまま寝落ちしただろう?」

(……ん?)

王太子殿下の言葉に違和感が……。
魔術の勉強は否定していない。ずっと勉強するなとは聞こえるけど……。別に理由が含まれてる?

言わんとする意味がわからなくて首を捻っていると、いきなり王太子殿下に椅子から抱き上げられた。

「お、王太子殿下…?」
「……何日、お預けを食らわすつもりだ?」

不機嫌なままの殿下にそっとベッドに下ろされると、いきなり服をはだけられ胸元に口づけられた。

「リリィ、おまえが足りない。毎日でも足りなくなるのに、この3日よく焦らしたな」
「え……焦らし…?……て、なんていません!」

言ってる意味は解らなかったけど、王太子殿下の性急さに危機感を感じて慌てて否定したのに。当の殿下はまったく聞く耳を持ってくださらない。

まだ話そうとした口は強引にキスで塞がれ、両手は纏めて拘束された状態で殿下はわたしを荒々しく抱かれた。

「も…やめてください」
「まだだ。足りない、と言っただろう」

明け方になっても解放してくださらなくて…結局、翌日から更に翌朝にかけてベッドから解放されず。気を失った時には3日経ってて。
また、エロ王太子!とマルラがブチ切れた。

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