白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
直の周りには10人くらいの男女がいて、中田以外は知らない子ばかりだった。
直の過去を俺は知らない。
当たり前だけど。
俺だって、過去があって直にだって過去があって。
全ての世界を共有することはできなくて、それぞれにしかわからない世界もある。
当たり前だけど・・・モヤモヤする。
たっくんは、自分の車から降りて俺の車に乗り込んだ。
「先生・・・なんか辛いね。あんな姿見てられね~な。俺らの存在に気付いてないし」
「だから、言っただろ。帰ろうって・・・」
2人で暖房をガンガンきかせた車の中でため息をついた。
「あの中に先生の教え子もいるの?」
「わかんねーけど、直の中学からは20人くらい入学してきたから、そりゃいるんだろうな・・・」
堂々とあの輪の中に入っていければどんなに楽だろう。
「やっぱ、未だに隠れなきゃいけないんだね、先生と直ちゃんって」
「もう堂々と付き合ってもいいんだけどな」