白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
階段の前にベンチがあり、灰皿が置かれていた。
誰もいないその場所で俺は立ち止まる。
「矢沢がな、俺に頼んだんだ。荒木とゆっくり話してって」
俺は背を向けたまま言った。
「矢沢さんが?」
荒木は、驚いたように言った。
「噂で知ってるかも知れないが、俺は矢沢と付き合ってる」
しばらく黙っていた荒木は、ため息まじりに答える。
「やっぱりそうだったんだ。矢沢さんかぁ・・・いいな、矢沢さん」
「あいつは、ずっと荒木のことを気にしていた。今日も、あいつはお前のことばかり考えてる」
荒木は、そうかなぁと言って、ブーツの先でベンチの端を蹴った。