白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
大きな声で『はい!』と言った。
あの日を思い出す。
高校の卒業式。
先生が私の名前を呼んでくれた。
矢沢直って呼んでくれた先生の声は今でも鮮明に残っています。
先生、覚えてる?
先生は言ってくれたよね。
私が、先生以外の先生を『先生』って呼ぶことが嫌だって。
専門学校の先生もみんな好きだけど、教師として一番好きなのは今でも先生だよ。
桃子も泣いていた。
桃子は、新谷翼先生が好きだから、高校を卒業する時の私の気持ちと似ているだろう。
私は両思いだったからまた会える。
でも、片思いの先生とのお別れは、本当に寂しくて耐えられないくらい辛いよ。
もう会えない。
もう、気軽に『先生!』って呼べない。
先生達には、また春になると新しい生徒が来る。
でも、卒業していく桃子にとって、翼先生は世界に1人しかいない。