白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
卒業おめでとうと書かれたかわいい旗と、
手作りの人形が迎えてくれた。
美味しい匂いが漂う体育館。
まだ涙が止まらないのは桃子だった。
みんな理由はわかっていた。
入学してすぐに翼先生に恋をした桃子。
高校の入学式で恋をした私と同じように、卒業式までずっと思い続けている。
「告白・・・しないの?」
美穂は桃子の肩を抱きながら言った。
桃子は今までも何度か告白しようと頑張ったんだけど、最後の一言が言えなかった。
『好き』って難しい。
その二文字がなかなか言えない。
「翼先生、今教室にいると思うよ」
あゆみも桃子の背を押した。
「桃子、後悔だけはしないでね」
私がそう言うと、桃子は体育館を飛び出した。
袴が着崩れてしまうんじゃないかと心配になるくらい、勢い良く走り出した桃子。
真崎くんは、頑張れよ~と叫んだ。
「全く・・・身近にこんなイイ男がいるってのに、どうして気付かないのかな」
真崎君は残念そうにそう言って、要君に同意を求めた。
「お前の魅力は俺がわかってるよ」
要君はそう言って、真崎君を抱きしめた。
「いいだろ?あゆみ」
真崎君はニヤリと笑い、あゆみを見る。
「私、もうあきらめたもん。テルのこと、好きじゃない。私が好きなのは・・・」
あゆみは、意味深な言葉を残し、トイレへ行くと体育館を出た。
「何だ、あいつ」
真崎君は首をかしげた。