白いジャージ3 ~先生とバージンロード~



卒業おめでとうと書かれたかわいい旗と、

手作りの人形が迎えてくれた。



美味しい匂いが漂う体育館。



まだ涙が止まらないのは桃子だった。


みんな理由はわかっていた。


入学してすぐに翼先生に恋をした桃子。



高校の入学式で恋をした私と同じように、卒業式までずっと思い続けている。




「告白・・・しないの?」



美穂は桃子の肩を抱きながら言った。


桃子は今までも何度か告白しようと頑張ったんだけど、最後の一言が言えなかった。


『好き』って難しい。


その二文字がなかなか言えない。



「翼先生、今教室にいると思うよ」


あゆみも桃子の背を押した。


「桃子、後悔だけはしないでね」



私がそう言うと、桃子は体育館を飛び出した。




袴が着崩れてしまうんじゃないかと心配になるくらい、勢い良く走り出した桃子。



真崎くんは、頑張れよ~と叫んだ。




「全く・・・身近にこんなイイ男がいるってのに、どうして気付かないのかな」


真崎君は残念そうにそう言って、要君に同意を求めた。


「お前の魅力は俺がわかってるよ」


要君はそう言って、真崎君を抱きしめた。


「いいだろ?あゆみ」


真崎君はニヤリと笑い、あゆみを見る。


「私、もうあきらめたもん。テルのこと、好きじゃない。私が好きなのは・・・」



あゆみは、意味深な言葉を残し、トイレへ行くと体育館を出た。



「何だ、あいつ」


真崎君は首をかしげた。






< 289 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop