白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
「美穂!今日、ケーキ食べて帰らない?」
私は、就職先をまだ決めていない美穂をデートに誘った。
桃子は、翼先生が好きだということもあって、この専門学校で助手としてバイトすることを目標にしていた。
あゆみは、近所の老人ホームへの就職を希望していた。
決まっていないのは、私と美穂だけ。
「はぁ・・・将来のこと決めるのってなんだか疲れる・・・」
「みんなが決まっていくと余計に焦って、わけわかんなくなる」
私達の専門学校から歩いて5分の有名ケーキ屋さん。
雑誌にも載ったことのあるこのケーキ屋さんのケーキは最高に美味しい。
まだ一度も先生と来たことがないんだけど、いつか絶対食べさせてあげたいな・・・
「おいひ~!」
いちごタルトの好きな私もこのお店では、必ずロールケーキ。
ここのロールケーキは、ほっぺた落ちちゃうくらいに柔らかくて、美味しい。
ふわふわのスポンジの中には、甘すぎないクリームがこれでもか!ってくらいに入ってる。
「私は、タカのお嫁さんでいい・・・」
美穂の彼氏、隆史君・・・通称タカ。
高校時代から付き合っている2人は、ラブラブで、よく校門の前にタカの車が停まっている。
「私も、先生のお嫁さんがいい」
こんな話をしていても、2人とも心の中は・・・『これじゃいけない』ってわかっていた。
だから、辛かった。
決めなきゃ、決めなきゃって焦れば焦るほど、自分のやりたいことが見えなくなっていくようだった。