白いジャージ3 ~先生とバージンロード~


「体育館、戻るか」


要君の背中は少し寂しそうに見えた。


「俺だけかぁ・・・ひとりぼっちは」


「いいじゃん。あんたはモテるから」



美穂は寂しそうな要君の背中をポンと叩いた。




桃子が体育館に戻ってきたのはそれからすぐだった。



桃子は泣いていた。



告白の結果がどうだったのか、誰も聞けなかった。



「桃子~!おかえり」


「ちゃんと話せた?」



頷いて涙を流すだけの桃子。



「また遊びに来なさい。ひとりで来るのは恥ずかしいと言うからみんなで来てくれよ」



桃子の後ろに現れたのは、翼先生だった。


「矢沢さん、ぎりぎりで就職決まって安心したよ。あの会社は、今年から新しい事業に取り組むから急に介護の知識のある人を探していたから本当に良かった」


「ありがとうございます。翼先生にもいろいろお世話になって」



結婚が決まっていることを最初の面接で話したのに、内定をもらえたのは私の介護の知識を期待してのことだと思う。


期待に応えたい。



「みんな社会人になっても頑張れよ」


翼先生はその場を離れ、別の先生と話しながら料理を取りに行った。




< 295 / 391 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop