白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
新しい一歩
社会人になるって、自分に責任を持つということ。
遅刻をすれば自分だけが困るんじゃなく、同じ会社の人やお客さんに迷惑をかける。
今までは、授業中寝ていたら先生が叱ってくれた。
でも社会人になると『先生』のような人はいない。
必要がないと判断されると、その会社にいられなくなるだけだ。
全てが自分の責任だからこそ、やりがいもあるのかも知れない。
入社式と言うほど大げさなものではないが、新入社員が集められ、みんなの前で挨拶をした。
新入社員の人数は、全員で6名。
女子は3名だった。
中途採用らしい30代の男性が、立派な挨拶をしたせいでみんな緊張してしまった。
「これからこの会社でお世話になります。矢沢直と言います。よろしくお願いします」
ありきたりな挨拶にも関わらず、社員の皆さんは拍手をしてくれた。
私が社会人になり、最初に働く会社。
敬語の使い方や常識を見に付ける本を必死で読んだ。
この1ヶ月、社会人になる準備を自分なりにしてきたつもり。
パソコンで表を作ったり、美しいボールペン字を習ったりもした。
社会人1年生の私。
私の最初の一歩。