白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
「お母さんもね・・・思い出すわ」
お母さんは、自分が初めて働いた時の話をしてくれた。
お母さんにも若い頃があり、新入社員としてドキドキしたことがあったんだ。
当たり前だけど、みんな『初めて』を経験して、大人になっていく。
「もう結婚まで1ヶ月を切ったのよね。嬉しいけど、やっぱり寂しいな、お母さん」
お母さんの本音が聞けたことが嬉しくて、私はお母さんの手を握った。
ずっと一緒だったもんね。
お姉ちゃんのことで悩んでいた頃は、いつも2人でこうして空を見ていたね。
どうすればいいのかわからない時は、2人で空を見た。
一緒に戦って来た。
そんな気がする。
お父さんはスネちゃうかも知れないけど、やっぱり母親と娘って特別なんだよ。
「私も寂しいな。でも、私もお母さんみたいなお母さんになりたい」
お母さんは、直ならなれるよって優しく笑ってくれた。