白いジャージ3 ~先生とバージンロード~


結婚式の写真集をお願いしていたので、専属のカメラマンさんが私と先生を追いかける。


こんな経験も人生最初で最後。



男性のカメラマンさんで安心している私。

だって、先生の専属カメラマンは私だけだもん。




「さぁ、そろそろ行きましょうか」




先生だけが呼ばれた。




先生は、行って来ますと言いながらお父さんに会釈した。



私はお父さんとふたりきりになった。



「幸せになれよ」


お父さんは、私から視線を遠ざけたままポツリと呟いた。



私は声を出さずに頷いた。




父親って娘の結婚式では主役になれる。

今日、ウエディングドレスを着てから、ほとんどお母さんと話していない。

お父さんと一緒にいる時間は長い。


女の子にとって、母親ってすごく身近でいつも話す相手だけど、父親ってどうしても距離を置いてしまう。


でも、結婚式だけはこうしてお父さんとふたりきりになる。



出産はお母さんの仕事だけど、お嫁に出す時ってお父さんの出番なんだね。






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