白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
退場曲は明るいのに、ゆかりも依子も泣いていた。
ふたりのテーブルの横を通る時、ゆかりが先生に、直を頼むねって言った。
先生は私の手を引いて、明るく笑う。
冷やかす友達に笑顔で言い返す先生。
「俺より幸せになれよ~」
私と先生が一生懸命考えた披露宴が・・・
今、終わる。
来てくれたみんなを見送る為に、扉の横の金屏風の前に立つ。
「これ、お姉ちゃんと作ったんだよ~」
ひとりひとりに配るのは、昨夜作ったクッキーの詰め合わせ。
家族みんなで協力したこのプレゼント。
「お姉ちゃん、これすっげーうまかった!」
先生は、泣きそうなお姉ちゃんに向かって言った。
「え~!もう食べたの?足りなくなるからだめじゃん!」
「一個くらいいいだろ~」
お姉ちゃんの隣を歩くのは誠人さん。
「お前、クッキーなんか作れんの?」
誠人さんはお姉ちゃんにそう言って、お姉ちゃんが誠人さんの背中を叩く。
「今日は、遠くから本当にありがとう」
「ありがとうございます!飛田さんですよね」
飛田さん一家は、私の理想の家族って感じだった。
仲良さそうなご夫婦とお子さん。
「和人~!お前、こんな綺麗な嫁さんもらって~!絶対幸せにしてやれよ」
「わかってるって!」
先生は、照れながら飛田さんと握手をした。