白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
「俺は、同窓会でみんなに祝福してもらえたことが本当に嬉しかった。同窓会を企画してくれた里田や中田にも、俺の結婚報告を受け入れてくれたみんなにも感謝の気持ちでいっぱいだった」
本当にそうだね。
あの同窓会、私以上に先生は不安だった。
みんなが受け入れてくれるか、裏切ったと思われないか・・・
先生は悩んでいた。
「俺、一生忘れねぇから」
先生・・・
先生のホームルームは、心に響く。
「ひとりで生きている人間なんていない。みんな誰かに助けてもらって、誰かに迷惑をかけて生きている。そのことを毎日感じるのは難しいが、自分が困った時、壁にぶち当たったときに感じると思う。その時に・・・立ち止まってみて欲しい。誰かのおかげで立ち上がることができたなら、そのことをちゃんと心に刻んで、一生忘れない人間になって欲しい」
夕焼け色に染まる空。
先生は空を見上げた。
「俺は、みんなから大事なことをいっぱい教わった。俺と矢沢は、これから何年経っても今日のことを忘れない」
うん。
忘れない。
綺麗な空の色も、浮かんでいた雲の形も。
教会の鐘の音も、鳥の鳴き声も。
お父さんの涙も・・・
誓いの言葉も・・・
先生とのキスも
忘れないよ。
「中田、里田・・・本当にサンキュ。里田、頑張って赤ちゃん産むんだぞ。次の同窓会では子供を連れて来いよ」
依子はお腹を撫でながらにっこりと笑った。
もうすぐ依子の赤ちゃんにも会えるんだ。
忘れない。
全ての人の笑顔。
ゆかりと依子の優しさも・・・
この最高の二次会も。
絶対に忘れないから。
いつまでもカラフルに胸の中で生き続ける思い出。