白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
「ゆかり、どんな心境?」
「ん?龍がイイ男になってくれて嬉しい。初恋の人だからね」
ゆかりは遠い目をした。
私もゆかりも・・・同じ風景を思い出していただろう。
中学の校門前で龍を待つゆかり。
手を繋いで帰る2人を、みんなが憧れの目で見ていたんだ。
まだ恋を知らなかった私は、龍とゆかりを見て、いつか出逢う運命の相手を想像していた。
「ちょっと切ないけどね」
ゆかりは、私の肩に肩をぶつけて、照れ臭そうに笑った。
それが正直な気持ちだと思う。
長かったから。
長かったし、濃かったし、初めてだったし・・・
でも、今ゆかりの隣にはたっくんがいる。
ちょっぴり切ない今の気持ちを、たっくんの存在が和らげてくれるだろう。
「今日のゆかりすっげーかわいい!」
先生とたっくんが2人でエレベーターの前に来た。
「何か手伝うことないか?」
優しく声をかけてくれる先生。
顔を近づけて、耳元でそっと呟いた。
「ドキドキするな・・・俺達ももうすぐだな」