白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
「突然ですが、乾杯の挨拶と、スピーチをお願いした人がいるそうです!」
マイクが依子に渡されて、私とゆかりは顔を見合わせて、『私達かも!』って緊張していた。
「今日は、皆さん来て下さって、ありがとうございます。乾杯の挨拶をお願いしたいのは、私の高校時代の恩師であります、新垣先生です。一番辛かった時期に、新垣先生に助けてもらったこと、今でも覚えています」
えぇ?
先生?
驚いたと同時に、また心配・・・
だって・・・スピーチなんてしちゃったらみんなが先生を見てしまう。
「お、俺??」
きょろきょろしながら、ネクタイをきゅきゅって結び直す先生。
「先生・・・大丈夫?緊張しない?」
私が顔を覗きこむと、親指を立てて、任せとけと言った。
さすが。
先生は、高校の教師。
人前で話すことには慣れている。
特に先生は、いつも生徒を叱る担当だから、始業式や終業式は全校生徒の前で大声を出したりしている。
コホンと一つ咳払いをした先生が立ち上がり、前へ出た。
ドキドキ・・・
こっちがドキドキしちゃう。