白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
駅から学校までの道のりは、歩いて10分。
いつもここで、先生にメールをする。
【風邪引いちゃったよ、先生】とメールを作成している時だった。
先生からのメールが届き、画面を切り替えた。
【今日の夜、急に娘と会うことになった。なるべく早く帰るから、俺の家で待ってて】
私は、自分が作りかけていたメールをクリアボタンで消去した。
【良かったね!楽しんで来てね】
そうメールを送り、ため息をついた。
私、優しくなんかないよ。
やっぱりこういう時って複雑なんだよ、先生。
良かったねって言ってるけど、心の中はとてもモヤモヤしていて、素直に喜べないんだ。
でも、先生にそんな姿は絶対に見せないと決めてる。
風邪だなんて、言えないよ…
年に数回しか会えない娘さん。
先生の楽しみな日なのに、言えるわけないよ。
先生の性格知ってるから。
『大丈夫か、早く寝ろ』なんて言える人じゃない。
先生は学校が終わるとすぐにかけつけて、そばにいて看病してくれるような人。
だから言えない。