白いジャージ3 ~先生とバージンロード~


その日は、美穂と美穂の彼氏、タカが家まで車で送ってくれた。



「直ちゃんも辛いな・・・でも、そこまで愛されてる先生って幸せだな!」


「私もタカのことそれくらい愛してるよ~!」



後部座席で、照れながら2人の会話を聞いていた。



家につくと、熱は39度近くまで上がっていて、ソファに転がったまま動くこともできなかった。




「せんせ・・・」




呼んでみると、熱のせいかすぐそこに先生がいるように感じた。



本当はここにいて欲しい。

手を握っていて欲しい。

隣で優しく微笑んでいて欲しいよ・・・



お母さんがいないから余計に先生が恋しい。


先生は、怒るかな。



『どうして黙ってたんだ?』って怒るよね、きっと。




ごめんね、先生。


でも、先生にとって今日は特別な日だから。

娘さんにちゃんと会いに行って欲しかったから。



お姉ちゃんは今日は夜勤で帰らない。


今夜はここで1人ってことになる。



先生ごめんね、嘘ついて。


先生は、今夜・・・

娘さんだけを想って、眠っていいから。




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