白いジャージ3 ~先生とバージンロード~
手を握った。
「うつるよ、先生・・・ごめんね」
「俺、最近風邪引かねーから大丈夫」
そういえばそうだ。
付き合ってから先生は、大きな風邪を引いたことがないような気がする。
「あの時以来引いてないね、先生」
「あの時って?」
思い出す。
まだまだ高校にも慣れていない入学して1ヶ月目の春の日。
◆◆◆◆◆◆
散ってしまった桜の花びらは知らない間にどこかへ消えていく。
校庭に散らばっていた花びらがだんだん少なくなってきていた。
入学して1ヶ月が過ぎようとしていた。
やっと、私は高校生なんだって思えるようになってきた頃。
私の中で、日に日に大きくなる存在。
今目の前にいる体育の先生・・・
新垣和人先生。
今日は3度目の授業。
『矢沢』って名前で良かったと思った。
出席簿の一番最後の『矢沢』を呼ぶ先生は、いつもこう言う。
『はい、じゃ~最後に・・・矢沢!!』
たったそれだけのことが嬉しかったりする。
他の人とちょっとだけ違う呼び方。
入学式で、先生に一目惚れしてしまった私は・・・
毎日毎日先生を目で追っていた。
そして、自分に問いかけた。
・・・どこが好きなんだろう。
・・・どうしてこんなにもドキドキするんだろう。