白いジャージ3 ~先生とバージンロード~



次の日に知った。




新垣先生が風邪だと知った生徒が、風邪薬を渡しに行ったこと。


マスクをプレゼントしたこと。




先生のファン、多いんだ。




私は何も出来なかった。



『大丈夫ですか』って言うだけで、あんなに勇気が必要で、あんなに必死だった。



やっぱり好きになっても辛いだけ。


叶うはずない。


届くはずない。




あきらめた方が・・・いいのかな。





「おっはよ~!もう矢沢菌やっつけたぞ!!」




忘れたいのに。


これ以上好きを増やしたくないのに・・・



廊下を歩く私の後ろから、声をかけた大きな人。




「矢沢!お前も風邪引くなよ!」



追い抜かす大きな背中に、体中がドキドキして、息ができなくなるくたいにときめいて・・・



顔が熱くて・・・


心の中で、先生の存在が100倍に膨らんでしまった。



「あきらめるなんて・・・無理・・・だよ」




涙でぼやけた先生は、たくさんの生徒に囲まれて廊下を歩く。





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