Livre magic〜温もりと冷たさ〜
「ノワール!遅いぞ!」

カズが怒鳴るように言い、ノワールは「ごめん」と微笑む。捕われているエリカが「先生……!」と頬を赤く染めながら言った。シャルロットも「メルキュールさん!」と涙を目に浮かべ、呟いていた。

「ノワール、メルキュール、あの物の怪はスピードが恐ろしいほど早くて強い!一筋縄ではいかないぞ」

リオンは、物の怪を睨み付けるノワールたちに言う。ノワールは普段のノワールに戻っている。一体どんな方法でメルキュールはノワールの記憶を取り戻したのだろう、リオンは気になってしまった。

ノワールはメルキュールを真剣な目で見つめている。二人の間にある不思議な雰囲気に、二人には何か秘密があるとリオンはわかった。

「相手が早ければ、僕たちも早くなればいいんだよ」

ノワールはそう言った後、カズを見つめる。そして、「亡霊を僕の体に取り憑かせてほしい」と頼んだ。

「はあ!?亡霊なんかを取り憑かせたら、お前の体にどんな負担があるかわかんねぇぞ!」
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