134億光年先の君へ
僕は自分の手のひらから、急速に自分の世界が広がっていくのを感じていた。


誰も知らない星があること。教科書に記されていることが全てではないこと。僕の言葉を待ってくれる人がいること。


その全てが、どうしようもなく僕の心を温かくした。


もしかしたらこれは夢で、空が白む頃には泡沫のように消えてしまうのかもしれない。


それでも、手の内に握り締めた温もりの欠片が、束の間でもこれが確かなものだと告げていた。


僕は透き通った膜に包まれた、ブルートパーズにも似た鉱物をそっとコートのポケットに滑り込ませる。


水饅頭を連想させるフォルムはほんのりと熱を持ち、僕の冷え切った指先を優しく包んだ。
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