134億光年先の君へ
「宇宙はどれくらい広いのか。これは昔から議論されていることだけども、137億光年だとか465億光年だとか、諸説あるんだよね。

誰も宇宙の端になんて行ったことがないから、計算でも簡単に分かることじゃない。

だから宇宙の謎は面白いと考える人もいるし、樋口みたいに数字が苦手なやつは、早く授業なんて終わっちまえと思うわけだ……寝るなよ樋口」


ぱん、と軽く頭を叩く音で、僕の意識は教室の窓の外から黒板へと移った。


黒板の前では教壇の机にもたれ掛かった先生が、一番前の席で寝こけていたクラスメイトに教科書を開かせている。


僕はその様子をぼんやりと眺めながら、ポケットに入ったままの最後のメッセージを、指の腹で撫でた。
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