結果、恋をする。
デートは隣の町までタクシーで移動した。
ユウスケさんに見られるのを避けるために。

映画はありきたりな恋愛ものだった。


「・・・・・・・・・・。」


映画途中でふとはるかを見ると涙をうかべながらスクリーンを見ていた。
頬を流れる涙を見て大悟はなんとも言えない感情になった。

自分だけの女になってほしいと思った。



「あーーーーー感動したねぇ!」


帰りのタクシーの中ではるかが言う。


「ありきたりやったな。」

「なんでそんな冷めてんのあんた。」

「冬じゃけぇの」

「絶対関係ないのぉ」

「氷河期突入じゃ」

「アホやな(笑)」

「あ、ここで停めてください!!!」


はるかがタクシーの運転手に声をかける


「なんでここ?」

「ちょっと歩こうや」


タクシーの料金を払い、暗い夜道に降りる。


「寒っ」


寒い為大悟が肩をすくめると、はるかが微笑んで手を差し出した。
大悟も当たり前のように手をつないだ。


「ほんまきれいやったのぉ♪満足♪」

「ほうか。」

「うん♪」


何気ない会話しかしてないのに、2人は新鮮だった。
いつもは家の中でしか会えないのに。
今は手をつないで歩きなれた道を歩いている。


「ねぇ大悟!」

「ん?」

「あたし大悟すきじゃけぇね!」

「・・・・・・・知っとるわ。」

「もーーーーーー!もっといい反応せんかねぇ」


はるかが拗ねて頬を膨らませる。


「おりやっ」


大悟がつないだ手をつないだまま上にあげる。
はるかは身長が低い為背伸びをしながら喜んだ。

「あはは(笑)やめてやめて」


「おい。」


後ろからドスの効いた低い声がする。
はるかが振り向き驚いた声を出す。


「・・・・・・・・・・・ユウスケ・・・・。」


後ろにいたのはユウスケと体格のいい3人の男がいた。


「・・・・・・・・・。」

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