結果、恋をする。
雪が降るって天気予報がラジオから流れてる。
その中あたしはダンボールに自分の荷物を詰め込む。

「いろはー!準備できたの?」

1回からからママの声がする。

「うーん!!」

少しため息をつき、また荷物を詰め込む。
こんな真冬に引越しなんてしなくていいのに。
しかも引越し先は広島。横浜から広島。
見た事ないし、行ったこともない。
でもたぶん広島は横浜より田舎な気がする。勝手な偏見だけど。

でもあたしには1人で生きて行く力もなければ、生活するすべがない。
仕方なく最後に残ったテディベアのぬいぐるみをダンボールに押し込んだ。
住んでる時はすごく狭く感じてたけど、あたしの部屋はこんなに広かったのか。

荷物を持って階段を下りる。1階ではママとパパが引っ越し業者の人と話をしていた。


「あぁ、いろは。荷物の片付けはすんだかい?」

「終わったよ。これで最後。」


パパがタオルを首にかけた状態であたしに話しかけてくる。
あたしは荷物を床に降ろしながら答える。


「ごめんなぁ、こんな時期に転勤になってしまって。」

「大丈夫だよ!パパのせいじゃないし。」

「そうよぉパパ気にすることないわよ。」


しょぼくれたパパの肩をママが撫でている。
なんだかんだ仲良いパパとママ。
今回の引っ越しはパパのお仕事の転勤が原因。
パパの転勤がなければ広島なんていかなくてよかったのにな。


「でも別にいいのよね、いろは彼氏がいる訳でもないし。」

「ちょっとママうるさい!!」

「いろはは彼氏なんか作らなくていいんだよ?」

「パパまで・・・。」

「でもママ広島男子すきよー♪好きじゃけぇとか言われてみたいわぁ」


ママが広島弁を使いながら台所までスキップして行った。
あたしはパパと顔を見合わせてため息をついた。
彼氏は生まれてこの方出来たことない。
好きな人すらあんま出来たことない。
広島に行ったからってそんな人が出来るなんて思ってない。

準備から3日後私達家族は広島県へ引っ越した。
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