結果、恋をする。
冷凍人間。
桜の花もすべて散ってしまった5月。
2年生になって初めての定期テスト週間だ。
伊崎兄弟とは会えないまま3週間がすぎた。
「うわあああ・・・テストやばいよ・・・。」
「あんた全然手ぇ動いてなかったもんな。」
頭を抱えながら廊下の窓から顔をだした。
あやかは隣で紙パックのジュースを飲んでいる。
「ここしんどい。偏差値高すぎ。もうちょっと低い所行けばよかった。」
「大丈夫じゃろ!赤点回避できれば。」
「・・・・・。それも危ういんじゃ・・・。」
「・・・・・あんたよう高校行けたの・・・。」
ため息が出る。制服だけでこの高校選んだこと後悔した。
どうか赤点になりませんように・・・空に向かって手を合わせた。
神様お願いします・・・。
その時、金色の頭が窓の外を歩いて行った。
「あ・・・・・。」
あたしは思わず廊下を走り校舎から出た。
そして、明るい髪の毛の方へ走って行った。
標的を走って追い越した後、その人向かって振り向いた。
「あ・・・あの!!!!!!」
「ん?」
「あ・・・・・・・。」
私が話しかけたのは、伊崎兄弟の兄だった。
「どしたん?何しよるん?」
「・・・・えっと・・・間違えました。」
「まちごーた?あぁ!大悟くんと?」
兄はあたしを見てニヤニヤしていた。
「どしたん?大悟くんに何の用??」
「用・・・はないんですけど。」
「標準語じゃ、関東の人?」
「そ、そうです。」
兄があたしにぐっと近づくとあたしの頭をぐしゃぐしゃに撫でた。
「え?!ちょっ・・・」
「ほーなん!関東なんじゃあ、ええのう、羨ましー♬」
「羨ましい?!」
「都会じゃんじゃろー♬ええのう」
「まぁここよりは・・・。」
「おねーちゃんお名前は?」
「須藤いろはです。」
「いろちゃん♪」
「いろちゃん・・・。」
兄はあたしの頭をぐしゃぐしゃにするのを止めて一歩下がりぺこっと頭を下げた。
「伊崎昌悟です!弟は大悟くんです!よろしくどーぞ!」
「え?!あ、宜しくお願いします!」
あたしも合わせて頭を下げた。先輩がにっこり笑った。
「ほんで、大悟君すきなん?」
「あえ?!すき?!?!」
「違うん?」
「好きとかじゃないですよ?!」
「つまらんのう・・・」
「髪の毛!!!!」
「髪の毛?」
「あいつ!だいご・・?さん??髪の毛黒くなかったですか?」
あたしは忘れないうちに昌悟さんに聞くことにした。
「黒・・・?」
「黒!!!」
「・・・・・・・・・あー。」
ぼそっとつぶやいて今までニコニコしていた昌悟さんは真顔になり頭をかいた。
「冬に!黒でしたよね???前見たんです!」
「黒・・・やったの♪」
真顔だった昌悟さんがまた今まで通りニコニコしはじめた。
「ですよね?!あたし見たんですよー♪」
「お葬式やったんじゃ♪」
「・・・・・お葬式?」
やばいこと聞いたかも・・・。とあたしは思った。
そんなプライベートなこと聞くべきじゃなかったよね・・・。
「すいません、変なこと聞いて・・・。」
「変なことじゃないよ。大丈夫。」
昌悟さんは優しく声をかけてくれたあと、あたしの頭をポンポンと軽くたたいた。
「・・・・・。」
「・・・・・溶かして?」
「・・・え?・・・」
「大悟君、冷凍人間になってもうてるから。」
「れいと・・・・?」
あたしが返事をする前に昌悟さんは歩きだした。
あたしは振り返って昌悟さんを見た。
「よろしくー♪」
昌悟さんは歩きながら後ろにいるあたしにヒラヒラ手を振った。
「冷凍人間・・・?」
あたしは立ち尽くしたまま、昌悟さんが見えなくなるのを見送った。
冷凍人間って何の話なんだろ・・・。
それは大悟のすべてを知る前、春の終わりだった。
2年生になって初めての定期テスト週間だ。
伊崎兄弟とは会えないまま3週間がすぎた。
「うわあああ・・・テストやばいよ・・・。」
「あんた全然手ぇ動いてなかったもんな。」
頭を抱えながら廊下の窓から顔をだした。
あやかは隣で紙パックのジュースを飲んでいる。
「ここしんどい。偏差値高すぎ。もうちょっと低い所行けばよかった。」
「大丈夫じゃろ!赤点回避できれば。」
「・・・・・。それも危ういんじゃ・・・。」
「・・・・・あんたよう高校行けたの・・・。」
ため息が出る。制服だけでこの高校選んだこと後悔した。
どうか赤点になりませんように・・・空に向かって手を合わせた。
神様お願いします・・・。
その時、金色の頭が窓の外を歩いて行った。
「あ・・・・・。」
あたしは思わず廊下を走り校舎から出た。
そして、明るい髪の毛の方へ走って行った。
標的を走って追い越した後、その人向かって振り向いた。
「あ・・・あの!!!!!!」
「ん?」
「あ・・・・・・・。」
私が話しかけたのは、伊崎兄弟の兄だった。
「どしたん?何しよるん?」
「・・・・えっと・・・間違えました。」
「まちごーた?あぁ!大悟くんと?」
兄はあたしを見てニヤニヤしていた。
「どしたん?大悟くんに何の用??」
「用・・・はないんですけど。」
「標準語じゃ、関東の人?」
「そ、そうです。」
兄があたしにぐっと近づくとあたしの頭をぐしゃぐしゃに撫でた。
「え?!ちょっ・・・」
「ほーなん!関東なんじゃあ、ええのう、羨ましー♬」
「羨ましい?!」
「都会じゃんじゃろー♬ええのう」
「まぁここよりは・・・。」
「おねーちゃんお名前は?」
「須藤いろはです。」
「いろちゃん♪」
「いろちゃん・・・。」
兄はあたしの頭をぐしゃぐしゃにするのを止めて一歩下がりぺこっと頭を下げた。
「伊崎昌悟です!弟は大悟くんです!よろしくどーぞ!」
「え?!あ、宜しくお願いします!」
あたしも合わせて頭を下げた。先輩がにっこり笑った。
「ほんで、大悟君すきなん?」
「あえ?!すき?!?!」
「違うん?」
「好きとかじゃないですよ?!」
「つまらんのう・・・」
「髪の毛!!!!」
「髪の毛?」
「あいつ!だいご・・?さん??髪の毛黒くなかったですか?」
あたしは忘れないうちに昌悟さんに聞くことにした。
「黒・・・?」
「黒!!!」
「・・・・・・・・・あー。」
ぼそっとつぶやいて今までニコニコしていた昌悟さんは真顔になり頭をかいた。
「冬に!黒でしたよね???前見たんです!」
「黒・・・やったの♪」
真顔だった昌悟さんがまた今まで通りニコニコしはじめた。
「ですよね?!あたし見たんですよー♪」
「お葬式やったんじゃ♪」
「・・・・・お葬式?」
やばいこと聞いたかも・・・。とあたしは思った。
そんなプライベートなこと聞くべきじゃなかったよね・・・。
「すいません、変なこと聞いて・・・。」
「変なことじゃないよ。大丈夫。」
昌悟さんは優しく声をかけてくれたあと、あたしの頭をポンポンと軽くたたいた。
「・・・・・。」
「・・・・・溶かして?」
「・・・え?・・・」
「大悟君、冷凍人間になってもうてるから。」
「れいと・・・・?」
あたしが返事をする前に昌悟さんは歩きだした。
あたしは振り返って昌悟さんを見た。
「よろしくー♪」
昌悟さんは歩きながら後ろにいるあたしにヒラヒラ手を振った。
「冷凍人間・・・?」
あたしは立ち尽くしたまま、昌悟さんが見えなくなるのを見送った。
冷凍人間って何の話なんだろ・・・。
それは大悟のすべてを知る前、春の終わりだった。