結果、恋をする。
好きじゃけぇ。
カンカンカン。
階段を上るハイヒールの音がする。
俺は火を弱火でかけながら鍋の中をかき回す。
「ただいまー!疲れたー!」
玄関からスーツを着た彼女が入ってくる。
華奢なパンプスを脱ぎながら、帰ってきた挨拶をする。
「おかえり。」
「いい匂い!今日何のごはんなにー?」
「ビーフシチュー。」
「わ!やった♡」
バタバタと音を立て、風呂場へ向かう彼女。
「え、今から入るん?」
「お風呂から大悟とのリラックスタイムが一番幸せなの♪」
歯が浮くようなことを言う彼女。
俺は晩御飯のおかずをテーブルに並べた。
俺と彼女は高校の時から付き合っていた。
俺の辛い記憶を全部良い記憶に変えてくれた彼女。
1年前から同棲を始めて、
お互い仕事をしながら、休みの日は出かけたりドライブに行ったりした。
全てのおかずを並べた後、頭を拭きながら彼女が風呂から出てきた。
「うわ♡おいしそー!」
「何にする?ビール?」
「うん!ビール!!」
お互い椅子に腰を下ろし、カチンとビールの缶をぶつけた。
「かんぱーい♪いっただっきまーす♡」
「はいどうぞ。」
俺の作ったビーフシチューをおいしそうに食べる彼女。
「おいしーー♡」
「そりゃよかった。」
ひとくちひとくちを口に運ぶ彼女をボーっと見つめる俺。
「大悟?どうした?」
「・・・なんもない。」
「えー体調悪い?大丈夫ー?」
「大丈夫・・・。」
俺は席を立ち寝室へむかった。
「・・・・・・・・・・??」
しばらくしてまたリビングに戻る。