肉食系男子に、挟まれて【完結】

「安西ちゃんを見付けた時の久住の顔。
びっくりするぐらいの笑顔だからね。本当。
まあ、私と態度違うのなんのって。ムカついたわ」



ちょっと、話ずれていませんか。辻先生。

でも、そんなにわかるぐらいに変わっていたんだ。私は全く気付かなかったよ。


ただ、私を慕ってくれる生徒って感じだった。
可愛いなあって微笑ましく見ていただけだったし。



「まあ、でもさ。
流石の久住君も行動には移さないだろうなって思ってたんだよね。
山本先生が来るまでは」


びしぃっと私を指差すと、ふっふっふと辻先生は不敵に微笑む。


「だって、あそこまで安西ちゃん狙いってのをビンビンに出してたらそりゃ焦るよね」


またふふふと妖しく笑う。楽しんでいる。


だよなあ。やっぱり辻先生も思ったんだ。
春斗が来なきゃ、多分久住君は気持ちも伝えずにいたかもしれない。


……やはりあいつの所為か。全ての元凶。



「まあ、でもさ。生徒との恋って、昔もだけど……今の方が敏感だろうからね。
どうなのよ？　安西ちゃんの気持ちとしては」

「どうって言われても、私は可愛い生徒としてしか思えないし」

「だよねえ。ときめかないし」


はあっと頬杖をつきながら、愚痴るように言う辻先生の言葉に私は固まった。

いや、私はしてしまったぞ？
え？　何？　私、ヤバイ？