肉食系男子に、挟まれて【完結】


「え。安西ちゃん。ときめいたの?」


黙っている私に、辻先生が目を真ん丸にして訊ねてきた。



「ときめいたって言うか、いや」


うまく説明出来なくて口籠ると、辻先生はまたニヤリ顔になった。



「ふうん、あのワンコも隅に置けないな」

「違いますっ! てか、ワンコって言わないで下さい!」

「えー。じゃあ何。猫?」

「……羊です」

「………ひ、羊」

「……あの、髪の毛のふわふわ感が……って笑うならちゃんと笑って下さいよ?」



辻先生は顔を背けて、肩をふるふると震わせている。
羊と久住君を想像して、一人ツボにでも入ったのだろう。


「あーはははっ、ヤバイね。
ウケル。まじでウケル。羊。羊って」

「いや、だってあの髪の毛ほわほわしてそうで、触ってみたいなとか思っちゃったりして」

「で、触ったと」

「……あの、どうしてわかるんですか」

「何だろうか。この簡単な女は」

「どういう事ですか」

「誘導尋問に簡単に引っかかってるって言ってるの」

「え? わかってなかったんですか?」

「逆に聞く。どうしてわかったと思ってるんだ」



だ、だって、辻先生ならあり得そうだし。軽くさっきからエスパーだし。
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