肉食系男子に、挟まれて【完結】
「……葛藤してんの、今」
「は」
エレベーターの扉が開き、とりあえず私と春斗は降りる。
それから、春斗にきゅっと手を握られて部屋へと向かった。
「俺、別に真央梨の彼氏じゃねえじゃん」
こくこくと頷きながら、私は彼の顔を見上げる。
「でも、酔っ払ってる真央梨、めっちゃ可愛くて。
そんな顔他の男に見せてたのかよって考えたら腹立って仕方ねえの」
「……何それ」
「あーー、もう、ヤキモチだよ! 彼氏でもねえのに!
だから、葛藤してんの!」
空いてる手で、ぐしゃぐしゃと自分の髪の毛を乱すとはあっと溜め息をつく。
それから、ぽつりと一言。
「あー…俺、どうしてこんなに気になっちゃってるんだろ」
それは、まるで独白している様だった。
その、後ろ姿を見つめる。
片手で顔を覆っていて、恥ずかしそうにしている春斗にゆるゆると口角が上がって行く。