肉食系男子に、挟まれて【完結】
「俺の本心だけどね。真央梨、最高に可愛いよ?」
「……や、めようか」
「やーめない」
ああ、もう。ニヤニヤ、ニマニマ嬉しそうにしやがって。
こっちは恥ずかしくて、春斗の顔を直視出来ないっていうのに。
無理矢理扉をしめようとするけど、男の人の力には敵わない。
「めっちゃ顔、赤い」
「うるさーーい」
「あはは、まじで可愛い」
「やめなさいっ」
「お。いいね、その言い方先生みたい」
「先生です!」
「あはは、そーだった」
全く失礼な! これでも一応三年も先生しているんだからな!
「んじゃ、そろそろ怒られそうだから、からかうのもこの辺にしとく」
「そうして下さい!」
「それじゃ、また学校で」
「また!」
私は扉をしめると、カチャリと鍵をかける。
春斗は部屋に戻る事なく、その足音がどんどんと遠ざかって行った。
……やっぱり用事あったんじゃん。
わざわざ送らなくてよかったのに。
エレベーターからここまでのあんな短い距離。
火照った頬を、手で覆う。熱い。
……ドキドキした。
春斗に。
でも、好きなのかなって考えたらわかんないよ。
恋愛なんて、もう数年していないんだ。
だから、恋ってどうするんだっけって考えちゃう。
今、その状態なのかもしれない。