肉食系男子に、挟まれて【完結】


帰る準備をして、連れていった場所は行きつけの定食屋さん。
ガラガラ鳴る扉を開けながら、私は先に中へと入る。


「こんにちはー」

「はーい」


奥からすぐに顔を出した、店主の沢さん。
私に気付くと、目尻に皺を寄せて微笑む。



「真央梨ちゃん。いらっしゃい」

「沢さん、お腹空きましたー」

「ふふ、はいはい。あれ? そっちの可愛い子は」


後ろから顔を覗かせる久住君。
沢さんに一度ぺこりと頭を下げた。



「うちの生徒の久住君」

「あれま。生徒! 先生、いいのかい」

「あはは。今日は久住君がピアノの先生してくれたんだから!」

「ほほー。それはそれは。まあ、綺麗な顔立ちしてるね」


沢さんは繁々と久住君の顔を見ると、感嘆の声を漏らす。
久住君は少しだけ照れて顔を俯かせた。



「んじゃ、そこ座ろうか」


久住君を席に促して、自分も座る。



「沢さん、私はいつものー」

「はいはい。どうぞ、お水」

「ども」


久住君はメニューを見ながら悩んでいるご様子。
少しだけ顔を上げると。


「先生は何をいつも頼むんですか?」


そう尋ねて来た。
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