肉食系男子に、挟まれて【完結】
「私はサバ味噌ー! ここのサバ味噌は絶品だからね」
「じゃあ、俺もそれで」
「え。いいの? 他にもたくさん和食あるのに」
「いいです、一緒で……いや、一緒がいいです」
「あ、え。あら、そうですか。
沢さん、えっと。いつもの二つ」
沢さんは笑いながら頷くと厨房へと入って行った。
「何か意外でした」
お冷を手にしながら、ぽつりと久住君が言う。
「何が?」
「こういう大衆食堂っていうんですか?
こういうとこ行かないと思ってました」
「え。何で」
「もっと、オシャレなとこに行ってるのかと」
「ぶっ、私が? ないない。
一人暮らしして結構経つし、普通にラーメン屋行くし。
完璧庶民だからね」
「嬉しいです」
「嬉しい?」
「はい。なんか、先生の彼氏になる人って、フレンチとか知らないと無理なのかなって」
「……久住君、それは変な幻想持ち過ぎだよ?」
私は家でビールと枝豆食べる様な女なんだぞ。
そんなどちらかと言えば、オバさんよりもオッサン臭い女なんだから。
干物だよ、干物。