肉食系男子に、挟まれて【完結】


「好きなんです、本気で」

「いやだ、久住君、や、やめて」



徐々に近付く顔に、思わず目をぎゅうっと瞑る。
だけど、それは一向に私には触れて来ない。


不思議に思い、ゆっくりと目を開けると私は息を呑んだ。



「………っ」


久住君の目から、一滴の涙が伝っていた。



「……く、すみ…」


彼は私の手首を解放すると、代わりにぎゅうっと私を包み込む。
震える体で、呼吸もしにくい程に私の体を抱き締めた。


「……ほん、とうに、大好き、なんです」


久住君が途切れ途切れに掠れた声で、必死に気持ちを伝えてくる。


「もう、どうしたら……いいのか、わかんないぐらい。
俺を、一人の、男として……見て下さい。
絶対に、大事にします」

「……久住君」



私の体にしがみつく様にして、そう漏らす久住君を突き放す事なんて、とてもじゃないけど出来なかった。
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