肉食系男子に、挟まれて【完結】
かき乱された心
暫く、私と久住君は無言で抱き合っていた。
彼のモノなのか、私のモノなのか。
ただ、心臓の鼓動がドクドクと聞こえた。
「……カッコわる…俺」
「どうして」
「だって、好きな人の前で泣いてたし。
それに先生の事、力任せに引っ張った」
そう言うと、久住君は私の手首をそっと撫でた。
くっと眉間を狭めると、声を漏らす。
「痛かったですよね」
「ううん。平気。少し驚いたけど」
「……すみません。幸せにするって言っておきながら、説得力ないですよね」
「そうだねえ」
「……」
久住君は私がそういうと、唇をきゅっと噛みながら俯く。
「なんてね」
ふふって笑うと、私は久住君の髪の毛に指を差し込んだ。
柔らかい感触が心地いい。
「男の人だ、ってちゃんと思ったよ」
「……先生」
「力だって全然敵わなくって、びっくりしちゃった。
私も高校生だった事あるのにね。何か、色々忘れてた。
子供扱いなんてしてるつもりはなかったんだけど、そう思わせてたんならごめんね」
「……いえ」
ふいっと視線を逸らす久住君。