肉食系男子に、挟まれて【完結】
「あ、うん。ちょっとね」
何で、浮気なんかしていないのに浮気している気持ちになるんだろうか。
今、浮気している人の気持ちが何故か凄くわかったぞ。
『お邪魔してすみません……、またかけますね」
「ごめんね。登録しておく」
『はい、それじゃあ』
「うん」
通話を終えた私は、少し先を歩く春斗を睨みつける。
それから、早歩きで彼に追い付くと抗議した。
「春斗」
「はい」
「何あれ」
「何が」
「わざとでしょ」
「どれが」
「久住君、変に誤解したじゃん」
「されてもいいじゃん」
「何で」
「……何でって、それ聞く?」
「え」
春斗はぴたりと足を止めると、私をじっと見つめた。
何でって、わからないよ。
誤解されたら困るじゃん。
もし久住君にあの男の人は誰だって問い詰められても、私うまく答えられる自信ない。