肉食系男子に、挟まれて【完結】
「本当にわかってないの?」
「何がですか」
「彼は俺ってわかってた?」
「わかってなかったと思う」
「あ、そう。じゃあ、大丈夫じゃん」
「大丈夫ではない。男の人といたってなんて答えたらいいの」
「男友達とでも言っておけば。彼氏でもいいし」
「彼氏とは言いません」
「あっそ」
そっけなく言うと、またも先を歩く春斗。
一切振り向くことがない。
確かに、春斗の事を話せないから困る。男友達って言えばいいんだろうけど、うまく誤魔化せるだろうか。
嘘はなるべくならつきたくない。なんて偽善だろうか。
そのままマンションに入ると、無言でエレベーターを待つ。
ちらっと春斗を見るが、無表情で何を考えているのかわからない。
エレベーターが到着して乗り込む。
それでも春斗は口を開かない。
どうしたんだろう。
そう思うと、変に心臓が鳴り出す。
……怒らせたんだろうか。
エレベーターが四階を知らせる。
扉が開き一緒に降りた後、私の部屋でなく春斗の部屋へと私を連れて行く。
私を先に中に入れると、レジ袋を置き、鍵をカチャリと締めた。
それから、私を壁に押しやると身動き取れない様に手首を掴んだ。