肉食系男子に、挟まれて【完結】
それから暫くして涙も収まり、手の震えも収まって、大分落ち着いた時にピンポンっと鳴る。
瞬間、体が硬直した。きっと春斗だ。
また心臓の鼓動が速くなる。ゆっくりと玄関へと向かい、私は扉を開けた。
気まずそうな顔で立っていた春斗は、
「……よっ」
と、手を上げる。
私が何も言わずにいると、
「あのさ、料理、出来たんだけど、来ない?」
と、申し訳なさそうに尋ねてきた。
春斗の手には何もない。一緒に食べようってことなのだろうか。
でも、さっきのことがあるから素直に頷くことも出来ず、返答に迷いながら視線を彷徨わせる。
「……真央梨、まじでごめん」
そう言って手を伸ばす春斗に、思わずびくっと反応してしまった。
「あ」
もう何もしないってわかっているのに、どうしても体が反応してしまった。
春斗が傷付いた表情を見せる。それにぎゅうっと胸が苦しくなった。
「はは、俺、何してんだろ。ごめん。……手、貸して」
勝手に触らずに、私に許可を取ろうとする春斗。痛いぐらいに反省している春斗の気持ちがわかって、私はゆっくりと手を差し出した。