肉食系男子に、挟まれて【完結】
「痛かったよな。ごめん。無理矢理押さえつけた」
「……ううん」
「しばらく俺、真央梨から距離取るわ。ちょっと待ってて。タッパに入れて持ってくる」
「え」
距離取る?
どういうこと?
春斗は私が聞く前に自分の部屋へと戻っていく。置いていかれる私。
それからすぐにタッパを持ってくると、ハイと私に渡した。
「ありがと、う」
戸惑いながら私はそれを受け取った。
「ちょっと真央梨の気持ち考えなさ過ぎた。本当にごめん」
そういうと、「じゃ、また明日」と言って春斗は扉を閉めた。
私は何も答えられないまま、暫く動けずにいた。
ふと、タッパに視線を落とす。
……照り焼きチキン。
すごく美味しそうだ。
だけど、食欲なんて消え失せてしまった。
それを冷蔵庫へ入れると、私は早々に眠りにつくことにした。
眠れるかはわからなかったけれど。